ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は高粘性のムコ多糖の一種で動物の靭帯、関節、眼球の硝子体液などに含まれます。体内ではタンパク質と共に粘調な溶液やゲルをつくって、細胞と細胞をつないでいます。そのほか、関節の摩擦を防ぐ潤滑剤や細菌の侵入から身を守る為に働いている物質です。
ヒアルロン酸の特徴は非常に保湿性に優れ、1gで約6リットルの水を保持するという強力な保水力を持つといわれています。また、皮膚に塗るとしっとり感、なめらか感を感じさせる保護膜を形成する為、肌荒れ防止剤として、また肌のしわ防止剤として化粧品等に配合されているようです。
しわの治療に用いるヒアルロン酸は非動物性にバイオテクノロジーを用いて作られたもので、異種タンパクのようなアレルギー反応はないと言われています。この物質をしわの部位に微量注入して、しわの陥凹を内側から埋めてゆこうというのがヒアルロン酸によるしわ取り治療です。
この方法の利点は注射のみで即効性にしわが浅くなるという点です。しかし、ヒアルロン酸は徐々に吸収されてゆくために最長1年程度で効果はなくなってしまいます。
コラーゲン
ヒアルロン酸より歴史の長い方法です。コラーゲンは牛の皮膚由来のコラーゲンを精製したものですので、人によってはタンパク質によるアレルギーを起こすことがあります。従って事前に必ず皮内テストを行い、1ヶ月後に判定してから使用します。やや白濁した溶液のため、まぶたなどは色が透けてしまうため使えません。ヒアルロン酸に比較して多少持続期間が短いのですが、材質的に多少柔らかい(粘性が低い)ので、自然な感じを出すのには良いと思います。ヒアルロン酸に比しての良い点はこのほかに開封後の日持ちが良く、数ヶ月間は同じ注射器から使用できるため何回かに分けて使うことが出来る点、価格が3分の2程度である点です。
ボトックスはボツリヌス菌という細菌が作り出す毒素であるボツリヌストキシンAの商標です。この毒素は食中毒の毒素として知られ、量によっては人を死に至らしめる強力な毒素です。この毒素は神経が筋肉に入る部分でその命令を阻止する作用を持っているため、筋肉が収縮出来なくなるという作用を有しています。大量に摂取した場合、人が死に至るのは呼吸筋が麻痺して息が出来なくなることが原因です。
さて、この毒素の性格を利用して、まぶたなどの筋肉がけいれんする症状を治療しようという試みがされました。この治療は現在も使われていますが、この治療中に患者さんのしわまで取れると言うことがわかってきました。つまり、しわの成因の一つである表情筋の働きが弱まり、ひいてはしわが出来なくなったという訳です。これを応用して、BOTOXという製品が作られました。1バイアルに100単位の毒素が入っており、この中から一人の患者さんに最大約40単位程度を用います(一カ所、2.5単位程度使います)。ボツリヌストキシンの動物実験での50%致死量は数万単位と言われていますから、これに比較すると使用する量は超微量ということになります。
BOTOXを用いるとその部分の筋肉の収縮が抑制されますので、たとえば額ではしわを寄せようとおもっても出来ないという状態になります。わざとしわを寄せる必要がある場合(俳優など)を除けば日常生活ではしわがないというメリットのほうが大きいでしょう。
ただし、この治療にもやはり欠点があります。1つは持続期間が短いということです。3〜4ヶ月しか持続しませんので、引き続の効果がご希望であれば再度注射を受ける必要があります。また、眼瞼周囲のしわに対する治療ではまぶたの動きに希に影響を及ぼす場合があります。たとえば、眉間のしわを取ったらまぶたが重くなったということがあります。これはBOTOXがまぶたを上げる筋肉にまで余分に影響したものですが、十分注意して注射を行っても希にこういう副作用が起こる場合があります。先ほどの持続期間が3ヶ月というデメリットはこのような場合にはメリットとして生きてきます。つまり、何かあっても3ヶ月後には元通りになると言うことです。
ちなみに「たるみ」にはまったく効果はありません。
フォトフェイシャルという治療法は詳しく述べましたが、しわに対する効果について触れます。
紫外線などの有害波長をカットオフした強力な光のエネルギーが皮膚表面は冷却装置によって保護されなら真皮部分(皮膚の弾力を担っている層)を約60度C にまで加熱します。この温度はちょっと入れないくらい熱いお風呂の程度ですが、瞬間的にこの温度まで加熱された真皮のコラーゲンはいったん熱によって配列が壊れてしまいます。言ってみれば皮膚の奥の部分だけが火傷するということです。もちろん皮膚表面はまったく損傷はなく痛みもありません。ただ、コラーゲンの配列が壊れているだけです。このような状態になると真皮は自分の力で再生を開始します。火傷が良くなった後の皮膚はつるんとした状態になっているのを見たことがあるでしょう。この状態が皮膚の下で起こり、コラーゲンの配列がきちんとしたものに再構成されて、しわや表面の凹凸が軽減されるという理論です。もちろんフォトフェイシャルはマイルドな方法ですので、急速な効果は期待出来ませんが、回数を重ねて行けば徐々に効果が現れてくるようです。
クールタッチレーザー、エルビウムヤグレーザーなど現在日本ではまだ少ないですが稼働しているシワ取りレーザーと言われる装置があります。しかし、いずれの装置も私が見た限り相当の効果を期待出来るものではなく導入をためらっていました。
ところが2003年4月のアメリカレーザー医学会で俄然脚光を浴びてきた治療法に高周波(RF)という治療がありました。この治療は上記のフォトフェイシャルより深いコラーゲン層をダイレクトに加熱し、もっと効果的にコラーゲン繊維を熱破壊するというものです。これにより部分的に熱変成を起こした繊維は収縮し、ひいてはシワ、タルミを取る方法です。
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手術による方法は主にたるみに伴うしわを改善します。下まぶたのしわ、ほほ、くびなどはフェイスリフトなどの手術が適応です。額の深いしわは髪の毛の中から皮膚を切って伸ばす方法などもあります。
しわの程度、成因、年齢、性別、満足度、職業などによっても細かく治療方法を選択する必要があります。どの治療が自分にとって最良なのか、副作用は何か、日常生活に支障はないか、治療費は、など数多くの疑問が浮かぶと思います。まずは診察、カウンセリングを受け、経験のある医師から適切なアドバイスを受けて、ご自身で納得して決定する必要があるでしょう。